【大兵工務店】
棟梁
山本剛久
キッチンスペシャリスト
山本香奈子
県産材のスギやヒノキをふんだんに使い、木組みと漆喰で造った天然素材の家です。寺社建築+数寄屋造りに代表される伝統技法が随所に生かされています。
大きな見所は、2階LDKの天井部分です。天秤梁の小屋組、梁全体を見せることで開放感のある立体的な空間になりました。
天然の木肌をそのまま生かすため「手刻み」にこだわり、構造材を可能な限り見出しに使うべく1本1本吟味しながら使用。結果として県産材の魅力を引き出すことができたと思います。ちなみに、屋根の構造を二重にしてその間に断熱材を組み込むなど、断熱対策も万全です。
また、昔ながらの真壁造り(柱と柱の間に壁を納める伝統工法)によって通常よりも広い室内空間が確保でき、ゆとりのある廊下幅、階段幅になりました。
今回手がけたU様邸は、「第26回 とちぎ県産材木造住宅コンクール」(主催/栃木県木材需要拡大協議会)で最優秀賞を獲得しました。
県産材を多用し、適材適所に用いるなど、無垢材ならではの長所や魅力を引き出した点が評価されたのだと思いますが、もう一つ、機能性を加味した「間取り」も、評価要素の一つになったと考えています。
U様邸は夏や冬など季節に応じて、過ごす場所を1階にしたり、2階にしたりできるようフレキシブルに設計されています。また、歳を重ねて階段の上り下りが不自由になった場合を想定して、1階の納戸をキッチンにリフォームできるよう設計しました。
音楽好きのご主人たっての希望で、木造住宅には珍しい本格的な防音室を施工しました。音や振動が漏れないように床と天井は4重構造、壁は5重構造、サッシは2重構造です。分厚い防振用ゴムを幾重にも重ね、音や振動を遮断しています。
また、楽器演奏を楽しむための防音室は、いかに残響音を残すかが大切なポイントになります。そのため天井に調音材を貼って残響効果を高めました。
完成した部屋は約10帖ほどの広さですが、伝統的な「和」の住まいとは趣を異にするスタイリッシュな「洋」の空間。まるでミュージシャンのレコーディング・スタジオのようです。
施主様のご依頼で、木造住宅のたたずまいを引き立てる外構工事も手がけました。
ポイントは、決して広くはない庭をいかに演出するかにありました。奥行きのある東西に細長い敷地を、玄関アプローチと庭の2つの空間に分けて考え、玄関脇に軽い感じの仕切り(枝折り戸)を配しました。ただし、あくまでも「軽い感じ」を念頭に、それぞれの空間がゆるやかに繋がるよう配慮しました。
各空間のディティールとしては、和室の前に縁側を設けて室内と庭に一体感を持たせ、また、玄関アプローチに年代物の岩舟石を使うことで、侘び寂びを表現しました。
一方、道路に面した駐車スペースにもひと工夫。コンクリートの表面を洗い流すことでマットな質感を出しました。通常のコンクリート仕上げは時間が経つと白っぽくなってしまいますが、配合を調整することで黒っぽさを維持。重厚感を出しています。
注目は、ご主人の愛車が止まるスペースに、大好きなローリングストーンズのロゴをタイルで仕上げてアクセントにしたことです。例えるなら、背広の裏地にこだわるような、洒落た演出になりました。その他、細かい部分にも遊び心をふんだんに。見所が多い外構になりました。
ちなみに、カーポートの躯体はアルミ製ですが、木目調を選ぶことで建物との調和を図っています。
施主様の思いの先にある、まだ具体的になっていない理想や漠然とした思いを引き出すために、綿密なヒアリングを心がけています。それらをヒントにさまざまな角度から「提案」するのが、私たちの家づくりのスタイルです。予算も含めたトータルな視点で施主様の住まいづくりをサポートする、提案型の工務店でありたいと思っています。
家づくりに関する知識、技術力はもちろんですが、さまざまな施主様のオーダーに対応できる木材(無垢材)のストックは、当社の強みといえるかもしれません。寺社建築や文化財の修復等を手がける当社にとって、約1000坪の作業場にストックされた木材はいわば「財産」です。
切り倒してから数十年が経過し、十分に乾燥した木材は、宮大工がほれぼれするほどのクォリティ。これらの木材を適材適所に使っていくのが、私たちの強みであり、家づくりのプロとしてのこだわりです。
また、当社の本拠地・栃木市は「蔵の街」として知られる歴史ある地域で、腕利きの大工職人が数多くいます。そうした腕利き職人のネットワークを生かせるのも私たちならでは。それぞれの技術力を結集し、次代に残る建築物を手がけています。
木組み×漆喰の家 大兵工務店
栃木県栃木市室町4-12 / TEL : 0282-22-2321
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