重要伝統的建造物群保存地区・国登録有形文化財
油伝味噌 見世蔵改修工事
老朽化した屋根を直し、
さらに観光客に喜んでもらえる建物に
屋根瓦は明治時代に作られた瓦です。屋根の上に竹を横に打ちつけ、土を乗せた上に瓦が敷きこまれています。瓦は割れ、瓦の流れがずれて波打っていたため、雨漏りをしていました。
まずは、古い瓦を取り除いて……。昔の瓦は泥の上にのせただけの物が主流で、瓦降ろしより、泥を取り除く作業が大変で。まさに泥だらけになりながら取り除くと、杉皮が現れました。昔は止水のために、杉の皮を敷いていたんですね。ようやく姿を現した野地板は、さすがに何十年もの風雪に耐えてきたのです。大変痛んでおりました。
古い板を剥がして、新しい瓦に葺き替えます。瓦は止水性が低いですから、二次止水面の材料(遮熱ルーフエアテックス)を敷いてあげます。先ほどの杉皮の代わりです。古い瓦の焼成温度は約800度。新しい瓦は約1,050度で焼成してあり丈夫です。瓦には引っ掛け桟がついていて、ずれることはありません。
外壁の下見材(昔は外壁に泥壁を塗ったあと、壁を保護する為に板張りとすることがありました)が剥がれていたのを修繕。新しい「杉の赤み材」を使い、佇まいを良くしました。
取り外した古瓦をモニュメントに使い、瓦の小径にしました。遊び心ある鯉のモニュメントは、大兵工務店へ職場体験教室に訪れた中学生に造っていただいたものです。また、旧・井戸端を整理して、観光客が田楽味噌を味わいながら、自然素材の中で楽しんでいただけるようにいたしました。